history なりたちといま

興聖寺は慶長八年(一六〇三年)に、虚応円耳(きいんえんに)という僧を開山として、古田織部により建てられました。

ご開山様は、大変な勉強家であった僧として知られています。六歳の時に親と死別されて以降、幼いころから仏教を学び、十九歳で出家。その後、並外れた努力のもと、数多くの経典を読みこみ仏教の基本を学びながら、営々と修行に打ち込まれ、僧俗を問わず仏の教えを世に広く説かれました。その参禅に熱心に通っていた大名のひとり・古田織部の、幾度にもわたる懇請により、このお寺を開くにいたったということです。

ご開山様は、教えを請う人には道俗男女のわけへだてなく、仏教の初歩的なところから丁寧に優しく教え諭されたそうで、興聖寺にはたくさんの人が集まったと言われています。

このように仏教は、小難しいものでも、限られた人のためにあるものでもありません。仏の教えを人生の指針にしたいという方すべてに授けられるものであり、ひとりひとりに合った方法で、わかりやすく伝えられていくもの。それが、仏教の本来のありかたです。

興聖寺では、お寺という場所の本来のはたらき、そして教えのあり方を、現代においても大事に守っていきたいと考えています。